教材アーカイブス/算数・数学/問題/幾何/三角形/合同001/解答例
証明例
「対応する辺の長さが3つとも等しい、二つの三角形は合同である」を説明する。
$\triangle ABC$ の3辺の長さが既知であるとする。 辺 $BC$ の一方の端点 $B$ を中心として半径 $BA$ の円を描く。 同様に他方の端点 $C$ を中心として半径 $CA$ の円を描く。
これら2円の交点は二つだけあり、一方が $A$ である。 もう一つを $A'$ とする。 円は中心を通る直線に対して線対称であるから、辺 $BC$ で折り返してやると、 $\triangle ABC$ と $\triangle A'BC$ とを重ね合わせることができる。 だから、$\triangle A'BC$ は $\triangle ABC$ に合同である。 ついでに $\triangle ABC$ は $\triangle ABC$ 自身に合同であることは自明。
一般の場所にある $\triangle ABC$ に合同な三角形については、$\triangle ABC$ あるいは $\triangle A'BC$ に長さと角を変えない移動(平行移動および回転)を施せば得られる。
合同条件の一つについて説明した。 この条件を利用して、先に合同な三角形を作りかたを示し、後で一般の合同三角形の与え方を示したことで説明に一般性を持たせてある。 あくまで説明なので、こんなふうに直感的で充分だろう。
$\triangle A'BC$ は $\triangle ABC$ に鏡映(線対称)で重なるわけだから、 結局、$\triangle ABC$ に合同な三角形は本質的には $\triangle ABC$ 自身だけしかない。 $\triangle ABC$ とそれに合同な三角形の集合を考えたとき、この合同という関係は同値関係と呼ばれるものの例である。 $\triangle ABC$ をこの集合の代表元と呼ぶ。